田中整体療院

トピックス(健康関連)    

サイエンス漢方(2017.04.02.)

  

【サイエンス漢方とは】   
漢方は、医療の質が飛躍的に向上する潜在力を持っているにも関わらず、これまで「陰陽論」「五行説」という、きわめて観念的な東洋思想をベースとした独自の診断法、治療法で実践されてきています。そのため、敷居が高く、現代医療に十分活かされていないという残念な状況にあります。   
しかし、東洋思想を学ばなくても、患者さんの話しをしっかり聞いて、全身の状態を診るというスタイルだけで、中医師と同等レベルの正しい処方が可能となります。それが「サイエンス漢方処方」です。   
  
ポイントは、次の2つです。   
◆漢方薬は、「超多成分系薬剤」と考える   
◆急性期の病気に対して初期の段階で大量投与する   
  
すると、次の3つの作用により、急性期の病気に対する速効性が得られます。   
免疫力を高めると同時に、過剰な炎症が抑えられる(標的部位だけに作用)   
微小循環障害が改善される   
(微小循環とは、全身の血管の99%を占める毛細血管の流れのこと)   
体の部位別にピンポイントで水分のコントロールができる   
  
*多くの医師が処方される日本漢方でなく、現時点ごく少数しかいない中国伝統   
医学に基づいた中医師レベルの医師か、サイエンス漢方を処方しれてくれるとこ   
ろであれば、上記速効性が得られるかもしれません(以下巻末リストより転載。   
HPには、上記漢方を取り入れているという表現がないので、電話確認下さい)。   
[宮崎県]    
なし   
[鹿児島県]    
鹿児島徳洲会病院(各診療科)   
今村病院分院(腎臓内科)   
  
*日本では医学部で漢方医学をきちんと学ぶことはありません。ということは、   
漢方医学の診断ができない医師が、知らない薬を処方していることになります   
(その問題を解消するのが、上述の「サイエンス漢方処方」)。   
つまり、製薬会社が用意した漢方処方の効能書きを見てそのまま処方することに   
なります。調剤薬局の薬剤師もまた、薬学部で漢方薬の教育を受けていないわけ   
ですから、製薬会社の注意書きをそのまま患者に伝えることになります。この問   
題は長年にわたって放置されてきましたが、10年ほど前からようやく、医学教   
育に漢方を導入する動きも起こっています。しかし、6年間で数時間の講義があ   
るだけで、卒後研修は存在しないし、まして大学病院の専門医教育の講座も全く   
ありません。   

  

【西洋薬の落とし穴、漢方薬の真骨頂】   
最も分かりやすい例として、肺炎のケースで説明します。   
肺炎は、肺に細菌やウイルスなどが感染して炎症を起こす病気です。その治療は抗菌剤の投与が中心で、あとは必要に応じて咳を鎮めたり痰を切ったり熱を下げたりする薬が補助的に使用されます。   
一見、十分な治療が施されているように思えますが、大きな落とし穴があります。肺炎というのは、肺で激しい炎症が起こっている状態です。抗菌薬で病原体を叩くことはもちろん大事ですが、それだけでは肺炎そのものを治していることにはなりません。言ってみれば、放火犯(=病原体)を逮捕して火事(炎症)を放置しているようなものです。一刻も早く、肺の中で燃え盛っている炎(炎症)を鎮めないと、肺は焼け野原となり、取り返しのつかないことになります。   
  
この状態に対して、現代医学はどのように対処しているかというと、実は何もしていません。患者さんの自然治癒力に任せているのが現状です(西洋薬のなかで炎症を抑える抗炎症薬は、副腎皮質ホルモンと非ステロイド性抗炎症薬の2種類しかありません。しかし、いずれも体の免疫力を大幅に低下させてしまうという難点があるため、衰弱している肺炎の患者さんには怖くて使用できません)。   
  
これは医者の側も気づいていない場合が多いのですが、肺炎の患者さんは、かなりの部分を自力で治していることになります。その結果として、体力のない高齢者などは炎症を鎮めることができず、命を落とすことが少なくないのです。   
  
これに対して、漢方薬のほとんどは炎症を抑える働きを持っています。しかも同時に、体の免疫力を高める働きがあります。つまり、抗菌薬(ウイルス性ならステロイド)と一緒に漢方薬を処方すると、肺炎はすみやかに解消されるのです。   
  
*肺炎に限らず、炎症はほとんどの病気に関係しています。そこをしっかり治療で   
きないまま、現代医学は病気の治療を行っているのです。たとえはよくないです   
が、西洋医学は悪臭のするゴミのバケツにふたをしているだけの治療と言えます   
が、中国伝統医学の治療は悪臭がしないようにゴミを清浄化しているのです。   
池の鯉が死にそうになった場合、西洋医学では鯉を捕まえて薬物を注射します。   
中国伝統医学では池の水を浄化して水温を調整し、えさを十分与えることで病気   
から蘇生させます。   
  
*炎症を抑えること、そして体の免疫力を高めること、実はこの2つの働きこそ   
が、漢方薬の速効性を生み出す『肝』であり、急性期疾患に効果を発揮する最大   
の理由でもあります。   
「えっ、漢方薬って、慢性疾患の人が長くじっくり飲み続ける薬じゃないの?」   
と思われたかもしれませんが、漢方はその黎明期から救急医学であり、漢方薬の   
真骨頂は急性疾患の治療なのです(補足①の10のケーススタディ参照)。   
  
*漢方薬のウイルスに対する効果   
インフルエンザウイルスに対しては、例えば麻黄湯は感染と増殖を阻害する作用   
があり、自分の免疫力で治すことになります。   
ですから、ウイルスのタイプを問いません(タミフルよりもさらに上流でウイル   
スをやっつけます)。   
ノロウイルスに対しては、例えば桂枝人参湯が直接どのように働くのかは、まだ   
確認できていないのですが、おそらく免疫力が高まることによって、体が自分の   
力でウイルスを排除していると推測されます。ちなみに現代医学には、直接ノロ   
ウイルスを攻撃する方法はありません。   

  

(補足①)参考サイト   
従来の漢方の概念を覆すまったく新しいサイエンス漢方処方   
*井齋氏が医療機関で講演する度に場内がどよめくという、10のケーススタディ   
が掲載されています。   
東洋思想に頼らない「サイエンス漢方」とは?(連載記事)   
漢方のお医者さん探し    
岡部漢方内科    
てつろぐ      

     

(参考書籍)   
・西洋医が教える本当は速効で治る漢方(井齋偉矢著)2014年   
・奇跡の漢方的食事療法(岡部哲郎著)2015年   

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